東京都内には、奥多摩地方・八王子地域を除いて緑豊かな場所はほとんどありません。また東京湾の海も決してきれいとは言えず、衛生上の事も考えるとあまり海水浴にも向きません。つまり、東京都民が自然と触れ合いたい場合は都外に出て行くしかないようなところがありますが、近い場所でおすすめといえるエリアを幾つかご紹介します。
特急で八王子の隣駅である大月エリアへの日帰り旅行
JR中央本線には、新宿から山梨に向かう「かいじ」・山梨を超えて長野まで向かう「あずさ」という2つの特急電車が走っています。その中央本線特急は八王子を超えてから神奈川県の相模原市を経由して山梨県に入りますが、神奈川エリアには停車しません。
つまりJR中央本線特急において八王子駅の隣駅であるのは山梨県東部の大月駅という事になります。すぐに到着するため、立川・八王子エリアに住んでいる人達にとって大月とは身近なお出かけ先として昔から人気を博してきました。
なお都心エリアからは遠くて日帰りで旅行に行けない、という事はまったくありません。具体的には、新宿駅から特急電車に乗ればなんと約1時間で到着しますので、らくらく日帰り旅行ができますし滞在時間が短くてもいいのであれば半日旅行すら可能です。
駅のそばには奥多摩地域同様に東京のすぐ近くとは思えないほど緑豊かな景色が広がり、秋で言えば駅のそばで紅葉を楽しむ事ができます。また駅付近を桂川という清流が流れており、河原でのバーベキューや水遊び・魚釣りなど様々なレジャーを体験できる環境となっています。
さらに駅のすぐそば(北側)に、標高634mの岩殿山がそびえ立っている点にも注目です。登山道の入り口が駅のすぐ近くにあるという点は八王子の高尾山と共通し、登山の難易度については高尾山よりやや高めとなっています。
そのため、都心在住者の中で高尾山に行き過ぎて飽きてしまった・難易度が低すぎて手応えがないとお悩みのかたがプチ登山にやってくる場所としても最適です。
富士急行線に乗り入れる特急で河口湖方面へ
2013年に富士山が世界遺産(世界文化遺産)に登録されて以来、国内外から電車を利用して富士山エリアまでやってくる人が急増中です。そんな流れの中で近年、大月駅から河口湖駅までを結ぶ富士急行線とJR東日本の直通運転が行われるようになってきています。
2010年代半ばの時点では、繁忙期の週末に富士急行線に乗り入れて河口湖駅までで直接アクセスできるのは成田エクスプレスの一部など、わずかだけでした。しかし、2019年春からは新宿から大月を経由して富士山駅・河口湖駅まで直通の「富士回遊」という特急が毎日運航するようになっています。
この富士回遊に乗れば、週末だけでなく平日においても大月駅での長い待ち時間を経験する事なく河口湖エリアまで直接アクセスする事ができます。なお、大月駅から富士山駅または河口湖駅まではやや時間がかかるため、都心からの日帰りも無理ではありませんが基本的には1泊2日旅行がおすすめです。
終点の河口湖駅付近には多数の温泉旅館が存在し、その中にはお風呂からもしくは屋上から間近にそびえ立つ富士山を見渡せる施設もあります。また、富士山駅と河口湖駅の中間に位置する駅直結のテーマパーク「富士急ハイランド」にも注目です。
こちらの施設内の絶叫マシンは南側の富士山を見渡しながら走る設計になっており、例えばジェットコースターで高いところまで来た際には目の前に絶景が広がります。ちなみにこのエリアは標高が1000m近くあり真夏でも最高気温が30度前後までしか上昇しないため、避暑地としても人気です。
古風な雰囲気を味わいたいなら川越へ
続いて、景色を楽しみたいというよりも非日常空間を味わってみたいという場合には、都心からの近場で一つ良い場所があります。それは、池袋駅から新宿駅から西武線特急に乗ると45分・池袋駅から東武東上線の急行に乗れば40分以内で着く埼玉県中央部の川越です。
この川越という地域は江戸時代から幕府との深い交流があった地域で、当時から継続的な発展を遂げてきました。特に西武新宿線の終点である本川越駅の北側は長い歴史と伝統をもつエリアで、火事に強い蔵造りの古風な商店が道路沿いにひしめいています。
その風景は都心の近代的な高層ビル街とはまったく違い、浅草エリアともまた少し違った風情ある雰囲気をもちます。テレビや雑誌・WEBの口コミを通じて2000年代に入ってから少しずつ観光地としての人気が上昇してきました。
2010年代に入るとその人気はさらに過熱していき、今では埼玉県最大級の観光地にまで成長しています。蔵造りの街並みのほか中心街にはたくさんの寺院・歴史的建造物などが点在しており、1日かけて歩き回れば最高の非日常体験を味わえる事間違いなしです。
なお蔵造りの商店街を回るだけであればそんなに時間はかかりません。そのため、時間がない場合はプレミアムフライデーの日に15時過ぎの特急に乗って川越に行き、16時半から夜にかけて街の雰囲気を楽しんで帰ってくるのも良いでしょう。
きれいな海で泳ぎたいなら千葉の勝浦
続いて、都心在住者の中で「東京湾とは違う近場のきれいな海で泳いでみたい!」と考えている人向けの情報です。神奈川県の湘南地域の海も綺麗ですが市街地そばに海がある関係で、ある程度は海洋汚染の影響を受けています。
それに対して千葉県・房総半島の南端のほうに位置する勝浦辺りは都心から相当離れているほか海周囲は湘南地域のように都市化が進んでいません。そのため、湘南地域と比べても驚くほど美しい海が広がります。アクセス面についても東京駅からJR特急に乗車すると勝浦駅までわずか1時間半で、駅のすぐ付近に海があります。
そのため、河口湖同様に都心から日帰り旅行をする事も無理ではありませんが、幾つかの理由により1泊旅行をおすすめします。
まず、駅や海水浴場付近にはテレビCMでおなじみの施設をはじめとして温泉旅館が多数あり、宿泊すれば館内から海を見渡す事が可能です。さらに週末だけでなく毎日朝に大規模な朝市が開催されており、有給休暇を取得して平日に旅行をした場合でも名物の朝市を体験する事ができます。
関東圏以外なら越後湯沢がおすすめ
最後に山梨県を含めた関東地方以外で、新幹線に乗るとあっという間に着く近場を探している場合は新潟県の越後湯沢まで行ってみるのが良いと思います。特にこの地域は冬に行ってみるのがおすすめで、冬季でしたら駅周辺のスキー場で滑る事ができるほか、温泉街では雪見風呂も満喫できます。